降臨それとも



暑い夏の、日曜日。 朝から家の花壇で草むしりをしていたときのことだ。

花壇に人形が……捨てられている、と思った。

「えぇっ?」

自分の目を疑った。 人形ではない、得体の知れない生物がそこにいたのだ。 人形ではない証拠に、その体はかすかに小さく揺れていた。

(もしかして……ここに隠れていたのか?)

僕はゆっくりと、少しずつ後ろへ下がった。

「うぅぁー……」

もう安全だと思える距離まで離れて、止めていた息を吐き出すと同時に声が漏れた。

「襲われて死ぬかと思った……。もし凶暴だったら……いや、そんな風には見えないな」

怖いから見たくない。けれど本当にいるのか確認したくて、僕は腰を落とし、恐る恐る花の繁みを覗き込んだ。

やはり幻ではなかった。

「いた……」

そいつを改めて注意深く観察する。

「あれは宇宙服? えっ、もしかしてET?」

どう見たって人間じゃない。 だって、身長が20cmくらいしかないのだから。

「ミミピン、言います……」

こちらの予想に反して、そいつはしゃべった。

(やっぱり、人形じゃなかったんだ……!)

驚く僕を余所に、そいつはもう一度繰り返した。

「ミミピン、言います」

「えっ……」

この切迫した状況で、僕は思わず「しつこいな」と思ってしまった。






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