大好きな僕のトカゲくん

僕の愛玩動物は爬虫類です。

具体的には、トカゲっていう種類です。

彼に「トカゲくん」と名前を付けました。

なんとも芸がない、とおっしゃるかもしれません。

我が家に来たときは、手のひらに乗るほどのサイズで、それは可愛い存在でした。

仕事から帰ると、水槽に手を入れます。
すると、待ってましたと言わんばかりに、ひょいと慌てて乗ってくるのです。

「ごめんなぁー」

と、僕……いつもの儀式です。

  ◇

トカゲくんが我が家に来てから、3年が経ちました。

仕事から帰ると、「トカゲくん」と書かれたドアをゆっくり開けます。

彼はあれからどんどん成長し、今では体長2メートルもあります。

僕以外の人が見たら、きっと「アリゲーター!」がいる、と叫ぶかもしれないです。

「なんでぇー、こんなに大きくなるのぉー!」

ペットショップに行って苦情を言おうと思っていくと、すでに店はシャッターを下ろしていました。

隣の家の方のお話では、店主は希少生物を不正輸入して、1年ほど前に警察に逮捕されたそうです。

「これからどうしよう……」

僕は途方に暮れました。

まだ、大きくなる種類のようだし……。

一番困ることは、彼の餌代が大変で……。

毎日、大量の肉を食べます。

僕の給料だけでは、とてもじゃないけど追いつきません。

そこで僕は、トカゲくんを動物園に引き取ってもらえないか相談することにしました。

ところが、動物園の飼育員さんはトカゲくんを見るなり、目を輝かせました。

「これは珍しい!」

「珍しいんですか?」

「こんな生き物、見たことがありません」

「やっぱり、トカゲじゃないんでしょうか?」

「トカゲですよ」

僕はホッとしました。

「ただ……」

飼育員さんはトカゲくんを見上げた。

「こんなに大きなトカゲは、世界中探してもいないでしょう」

そして、僕に名刺を差し出した。

「ぜひ、うちで飼育させてください」

「本当ですか!」

僕は喜んだ。

これで餌代から解放される。

ところが翌日、動物園から電話がかかってきた。

「すみません。トカゲくんをお返しします」

「えっ、どうしてですか?」

「餌代が高すぎます」

「……」

数日後、僕はトカゲくんを動物園に入れることができました。

ただし、僕はトカゲくんの専属飼育員として働くことを条件に…

「まあ、トカゲはもともと好きだし……」

こうして僕は、趣味を仕事にすることができました。

ただ、給料はトカゲくんの餌代で全部なくなりました。

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