僕はこの街のドンです。
つまり、ネコを束ねるボス、総帥、元締め、支配者、おさ、頭、棟梁、キャプテン、指導者など、いろいろな呼び方があります。
でも……
「親分!」
なんとも言葉が古臭い。
子分たちはそう呼ぶから、僕までいまだに「子分」と言ってしまう。
まあ、僕は江戸時代に生まれた。
あの頃は、この呼び方が主流だったから「親分」でよかった。
2026年の今、親分、子分などはみ出し組織でも使っていないかも知れない。
僕は、ほかの猫より体がかなり大きくなった。
まあ、猫社会だから、親分、子分でいいかも知れないが、僕の嫌いな呼び方をする困った奴らがいる。
ほかの動物で、「人」と呼び合っている奴らだ。
僕を「化け猫」と呼ぶ。
なんともひどい言われようだ。
長生きして体が大きくなってしまっただけなのに。
人を驚かしたりすることが時々ある程度だ。
そんなかわいい猫を捕まえて、この言われようだ。
まあ、三百五十年以上も生きてきたから、成長もするし、少しくらい体が大きいのは仕方のないことだ。
「僕はまだ一度も死んでいない… だから、化けて出てきてはいない!」
驚いてうろたえる人間にそう説明しているが、アイツらには僕の言葉は「ニャーニャー」としか聞こえない。
それに、僕の姿を見ただけですぐ逃げていくから、僕の説明を聞く気もないようだ。

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