夏とヤブカ

「お父さん、もう僕、歩けない」

飼い主と一緒に散歩していた愛犬・太郎は、道端にへたり込んでしまいました。

「おい、どうした?」

「今年の夏はもう暑くて我慢できません。僕、頭がクラクラして歩けませーーーん」

太郎のいつもの元気は、とうに消え失せていました。

この日の気温は朝から30℃を軽く超えました。

朝のいつもの散歩は毛皮を着て我慢大会に出ているようなものです。

そこへ、ヤブカが太郎の前に現れて言いました。

「すんません。きみの美味しい血をご馳走になりまーーーす」

ヤブカが太郎の鼻の頭に降りようとした、そのときです。

太郎は大きな口を開けて、パクン。

ヤブカを一口で食べてしまいました。

 

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