日本浮上

千葉県館山市にある『沖ノ島』は、かつて海に囲まれた島だった。

1868年(明治元年)までの話である。

島と房総半島の間が少しずつ隆起したため、歩いて渡れるようになった。

住民は便利になったと喜んだ。

これが、これから起きる地殻変動の前兆だったことに、誰も気づかなかった。

  ◇

2027年、現在はこのような状態になっている。

画面中央に灯台が見えることで、かつて沖ノ島があったことが分かる。

明治時代から、地殻変動は少しずつ起きていた。

沖ノ島の隆起は、これから起きるさらなる大災害の前兆だったことに、誰も気づかなかった。

  ◇

2029年、関東地方では地震が毎週のように発生するようになった。

南海トラフ地震は起きる。

そう予測され続けながら、いつ起きるのか分からない。

みな、起きないことを祈っていた。

それが……

ある日、東京湾が突然、隆起し、わずか一日で陸地になってしまった。

つまり、東京湾が一瞬のうちに消えた。

それは、まるでマジックのような災害だった。

揺れも起きず、ただ隆起した。

「そんなバカな」

誰もがそう口にして驚いた。

東京湾を航行中の船舶は、当然のことながら立ち往生した。

船員たちも口々に言った。

「そんなバカな」

新たに生まれた土地は、特別区第24番目の「東京区」に制定された。

都民は、埋め立てをすることなく土地が生まれたと大喜びした。

「祝・東京区誕生!」

都民はもちろん、日本中が大喜びした。

地方では、さらに都心への人口集中が進み、過疎化が加速するのではないかと懸念された。

しかし、これがこれから起きる大災害の前兆に過ぎなかったことに、誰も気づかなかった。

  ◇

さらに数年後、日本列島全体が隆起を開始した。

毎年、数十センチメートルずつ。

そして……高さ百メートルに達したとき、隆起が止まった。

そのため、周囲の海岸線は高くなると同時に、海側へ広がった。

つまり、日本列島が隆起したことにより、面積が広がったのである。

この地殻変動は、北海道の北方四島をも持ち上げた。

尖閣諸島、竹島の周囲も隆起した。

領土問題の原因となっていた六つの島は、日本列島と地続きになった。

  ◇

政府は、この大災害を「令和の天変地異」と名づけた。

なお、日本列島の隆起に伴う地震災害は、計り知れないほど甚大な被害をもたらした。

日本政府は、そんな状態であるにもかかわらず、ロシア、中国、台湾、韓国との領土問題が終焉したことを宣言した。


「あぁー、めでたし、めでたし」

……って、何がめでたいって?

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