愛犬・太郎の勘違い

僕は愛犬・太郎と近所の公園を散歩するのが日課だ。

ある時、散歩から帰るなり、太郎は僕の書斎にあるサイドデスクの下に潜り込むと、そのまま居座ってしまった。

「なんだい? 太郎は犬小屋が欲しくなったのか?」

どうやら太郎は、そこが気に入ったらしい。

  ◇

お父さんのおともをした太郎は、公園の池のそばに来た。

「今日はいい天気だな……。太郎、あそこのベンチでちょっと休むか」

「はい、僕も休みます」

ベンチに腰を下ろすと、太郎は池のほとりにある大きな石の上に何かがいるのに気づいた。

それは、この池に住む亀だった。

亀は暖かな日差しを浴びながら、石の上でじっとしている。

「きみは、その石の上で何をしているのですか?」

太郎が尋ねると、亀は答えた。

「甲羅干しですよ。こうして日なたにいるとね……とっても気持ちがいいんです」

「そうなんですか」

太郎は亀の言葉を聞くと、納得したように頷いた。

そして家に帰るなり、書斎のサイドデスクの下に潜り込んだ。

「なるほど……あんなに丈夫なもので守られると、安心できて気持ちが休まるってことなんだな」

太郎は、サイドデスクを甲羅代わりにしていたのだ。

どうやら太郎は、亀が「甲羅を日光に当てると気持ちがいい」と言っていることまでは理解しなかったらしい。

そんなこととは知らない僕は、

「今度の休みにでも、犬小屋を組み立ててやるからな」

と太郎に言っていた。

言葉が通じないというのは、難儀なものだ。

 

コメント