だるまさん

「僕が生まれたとき、雪だるまでした。

 大雪の日、サトシくんが僕をこしらえてくれました」

 翌日、僕はぽつんと路地裏に立っていました。

「まあ、足がないから、立っているというのも変だけど」

 学校から帰ってきたサトシくんは、僕をまじまじと眺めて言いました。

「一人だけで寂しそうだね。……また、雪が降るといいな」

 そう言うと、サトシくんは家の中へ入っていきました。

 その夜、大雪がこの街に降り注ぎました。

 新しい雪が降り積もり、街はすべて真っ白になりました。

 サトシくんが大喜びで家から飛び出してきました。

「もう寂しくないよ! 僕が君に友だちをこしらえてあげるから」

 サトシくんは雪だるまを作り、僕の隣に並べてくれました。

 僕は大喜びしました。

  ◇

 けれど、翌日は朝からお日さまが出て、僕らのまん丸な体をジリジリと照らしました。

「きみたち、大雪で寒かっただろ?
 わたしがいっぱい温めてあげるからね。
 もう寒くないよ。いいんだ、いいんだ……。
 お礼の言葉なんて、いらないから……」

 お日さまは僕らをジリジリ、ポカポカと温めてくれました。

 僕らのまん丸な体はどんどん溶けて、少しずつ崩れ始めました。

 サトシくんは、僕らに口を作るのを忘れていました。

(溶けちゃうぅーーー!)

 心の中で叫びました。

 けれど、お日さまはお構いなしに照らし続けました。

 お日さまが空高く昇ったころ、僕らは溶けて、ついに水たまりになりました。

 溜まった水は、どんどん辺りへ広がっていきました。

 友だちの水たまりも大きく広がり、やがて僕は友だちの水と一つになりました。

「やあー」

「どーもー」

 僕らはお互いにあいさつしました。

「お日さま……ありがとう。
 僕らはずっと一緒になれたよ」

 僕たちに口はありません。

 それでも心の中で、お日さまにお礼を言いました。

 水たまりは、お日さまの熱でどんどん蒸発していきました。

 僕らは水蒸気になって、天に向かって昇り始めました。

「わーーーい! 体が軽いぞぉー!」

 軽い体になった僕らは、空高く舞い上がっていきました。

 爽やかな風が吹いてきました。

 僕らは風に乗り、どこまでも空高く昇っていきました。

  ◇

 軽い体になった僕らは、風に乗って、やがて天国に到着しました。

 そこには神様がいました。

「水蒸気のままでは、かわいそうだな」

 そう言った神様は、僕たちをだるまさんにしてくれました。

 この写真は、僕らが天国で撮影した集合写真です。

 天国では、神様が何でも一つだけ願いを叶えてくれます。

 僕らは神様に、溶けない体にしてほしいとお願いしました。

 おかげで、写真にもちゃんと写る体になりました。

 そこで、記念撮影をすることにしました。

「それでは……みなさーーーん!」

「はい、チーズ!」


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