北極に、一組のペンギンの親子が住んでおりました。
「わたし、早く空を飛び回りたいわ!」
娘はワクワクする気持ちを抑えきれず、父に言いました。
「そうか……そうだな。飛びたいよな。しかし、ペンギンは空を飛べないのだよ」
そう言われた娘は、自分のでっぷりした体と、脇についている小さな翼を見比べました。
「そうですね。この翼に合わせて、もう少しダイエットしたほうがいいのかもしれませんね」
「おまえもそう思うだろ。だから、我々は毎日水泳をして、減量に励んでいるのだよ。おまえも、まずはその太った体を水泳で絞らなければいけないな」
「……」
娘は父をじっと見つめた。
「お父さん」
「なんだ?」
「私たち、ペンギンですよね?」
「もちろんだ」
「だったら……」
娘は北極の白い大地を見渡した。
「まず、南極へ引っ越しませんか?」

コメント
コメントを投稿