昔々、あるところに、想像力豊かな船長がおりました。
「今回のミッションは、緊張や責任との闘いの連続だったな」
彼はパイプをくわえると、大きく息を吸った。
「我ながら……大仕事を成し遂げた」
ゆっくりと煙を吐き出し、満足そうに笑う。
「フフフ。船には大漁に獲れた巨大マグロが満載だ」
「船長! そろそろです!」
操舵室へ飛び込んできた船員が、沖を指差した。
その先には、一艘の船が見える。ドクロの旗を掲げているようだった。
「あいつら……どうやって大漁だったことを知ったんだ?」
魚を獲る技術だけではない。
今回も、お宝を守り抜くための航海術が試される。
風向きを読み、現在地を確かめ、目的地へ進む。
船長には冷静な判断力と卓越した操舵術が欠かせない。
周囲には、どこまでも大海原が広がっている。
空には無数のカモメが舞っていた。
カモメもマグロの大漁を知ったのだろうか。
海面では魚たちが顔を出し、この船を見つめている。
カモメに襲われて船が沈めば、おこぼれにありつける――そう考えているのかもしれない。
「まったく……今回の航海は不可解なことばかりだ!」
「えっ!?」
船長は望遠鏡をのぞいた。
「海賊船が……さらに一艘増えた!」
「もう駄目だ!」
船長は望遠鏡を置くと、マイクを手に甲板へ飛び出した。
高い場所へ上がり、仁王立ちになる。
そこでは数人の船員が酒盛りをしていた。
船長は大きく息を吸い込み、叫ぶ。
「実は全部… イミテーションでした! というわけで……山口百恵さんの『イミテーション・ゴールド』を歌いまーーーす!」
船員たちは今日もまた、妄想好きでカラオケ好きな船長の熱唱を、黙って聞かされるのだった。

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