侵略者

みなさんの愛犬は、主人の見ていないところで何をしているか、想像したことはありますか?
かくいう私も、愛犬の太郎に尋ねたことがあります。

「太郎はいいよな。散歩以外は昼寝していられるんだから、お気楽だよね?」

すると、彼は「ワン、ワン、ワン!」と力強く吠えました。

『ご主人さま、そんなことはありません。私はいつだって、あなたを敵からお守りしているのですよ!』

私には、彼が誇らしげにそう答えたように聞こえました。
 ◇
ある日、犬の太郎と飼い主がいつもの公園でフリスビーを投げて遊んでいたときのことです。
「ほら、行ったぞぉ!」
飼い主の手を離れたフリスビーは、風にあおられて鬱蒼とした茂みへ飛んでいきました。太郎は弾かれたように、その後を追って生い茂る葉の中へと突っ込みます。
まさかその茂みの真上に、地球を偵察中の宇宙船が潜んでいるとは知らずに。
太郎が飛びかかったのは、フリスビーではなく、光学迷彩で隠れていた未知の機体でした。
「な、なんだこの狂暴な生物は! なんて隙のない種族だ!」
「未知の巨獣です! あの鋭い牙で噛まれたら、我が艦は木っ端微塵になります!」
「総員退避! おーこわ。地球侵略は中止だ、別の星にするぞ!」
宇宙の脅威は、またたく間に空の彼方へと消え去っていきました。
太郎はポカンとその行方を見送ったあと、ふと足元に目を落としました。そこには、お目当てのプラスチックの円盤が転がっています。
「ワン」
なんだ、こんなところに落ちていたのか。

太郎は何事もなかったかのようにフリスビーをくわえると、嬉しそうにしっぽを振りながら、飼い主の元へと戻っていきました。


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