ある町に、いつもと変わらない朝がやって来た。
目を覚ました雄鶏は屋根の上に飛び乗ると、周囲を見渡し、大きく息を吸ってから一気に雄叫びを上げた。
「こけ、コッコー!」
その一声が響くと、黄金色の朝日が牧場の向こうから姿を現し、緑の牧草をやさしく照らした。
「どうも、毎朝ご苦労さんです」
「いつ聞いても、いい声ですねぇ」
「惚れ惚れしますねぇ」
朝日が少しずつ昇るにつれ、雄鶏にはそんな感謝の言葉が降り注いでくるように思えた。
雄鶏にとって、自慢の美声を誇らしく思えるひとときだった。
もちろん、実際には雄鶏の思い込みだった。
お天道様がそんなことを言うはずもなく、ただ静かに朝を照らしているだけだった。
「結構、結構、こけ、こ結構こぉーーーーー!」
今日も雄鶏の美声は、牧場いっぱいに響き渡った。

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