ウッシーシー


 「僕の名前はウッシーシーだ」

小高い丘の上に立つ牛が谷に立つ牛に言った。

「あら? 奇遇ね。わたしもウッシーシーよ」

谷に立つ牛がそう言いながら丘の上を見つめた。

丘の上のウッシーシーと、谷に立つウッシーシーは見つめ合った。

そのとき、一陣の風が吹いて…

お互いが観ていたものは風に押されて消え去った。

「あら、儚いわね…」

そう言ったウッシーシーの顔の前を、また、穏やかな風が通り過ぎた。

「あら?」

丘の上の牛は、今まで何もなかったように、また足元に生える牧草を食んだ。

「あら、美味しいわ…」

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