遺伝子


 大学で遺伝子研究をしていた僕は、アフリカのナンダーカという国へ招かれた。

僕は三十歳という若さで大学の遺伝子工学科教授に任官され、この分野ではそれなりに名が知られていた。

だからだろうか。ある日、ナンダーカ国大統領から親書が届いた。

「我が国を救ってほしい。男が生まれないのだ。数万年続いてきた我が国の存続が危うい。もう切羽詰まっている!

同封した写真は我が娘、キレイーダロだ。娘はきみのアシスタントとして働くことになる。どうだろう?」

封筒には手紙と写真が一枚。

写真を見た僕は思わず声を上げた。

「なんて美しいんだ……!」

そんな訳で、僕はナンダーカへ向かうことになった。

ナンダーカはアフリカの赤道付近に位置する人口約3,000人の小国だった。

人口は3,001人。

女性3,000人。

男性1人。

到着した僕は国を挙げて歓迎された。


「先生、早速ですが我が国を救っていただきたい」


大統領は僕の肩を何度も叩いた。

その晩の晩餐会には長女のキレイーダロも同席した。

彼女のおもてなしは素晴らしく、僕はすっかり夢中になってしまった。

そして一か月後。

僕たちは正式に結婚した。

さらに間もなく、キレイーダロは子を身ごもった。

大統領は大喜びだった。

後になって分かったことだが――

ナンダーカ国大統領は、僕の肩書を勘違いしていたらしい。

「遺伝子工学者」を、「優秀な種馬」みたいな意味だと思っていたのだ。

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